室内の温度差にも要注意!
血圧の乱高下を防ぐために工夫すべきこととは?!
気温差の激しい季節は、血圧に変動が起きやすく、急激な変動は体にとっても大きな負担に。血圧を整えるために普段からできることを知っておきましょう。

血圧の変動を招く原因とは
血圧の変動を招く原因の一つが“温度の変化”です。季節の変わり目の気温の変化だけでなく、室内の気温差も血圧の乱高下を引き起こす可能性があると言います。「家の中にいても部屋の気温差には注意が必要です。10℃以上の差があるとヒートショックの危険性が高まると言われています。温度差が生じやすいお風呂場や、冬場に冷え込むキッチンやトイレなどへの移動は特に気をつけましょう。」と医師の石原新菜先生は語ります。なぜ気温差が血圧に影響しているのでしょうか。
「気温が高いと熱を放出しようとして血圧が低くなり、低いと血管が縮み、血圧が上がります。寒暖差が激しいと、それに伴って血圧の乱高下を招いてしまうのです。」
血圧の乱高下によって体に起きる不調とは
血圧の乱高下は下記のように、体に様々な不調をきたします。
- 高血圧
- 不整脈
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- 脳出血
「脳梗塞や脳出血などの重篤な病気につながるケースが多いのは血圧の急激な上昇です。ただし、急激な低下によって意識を失うことも。急にのぼせたり、頭痛や動悸が起きたら用心しましょう。」
血圧は緊張やストレス、疲労などによって、高い数値が出る場合も。自分の体調の変化に素早く気付くためにも、普段の数値を知っておくことがとても大切です。「自分は健康だから大丈夫!」という方も、日頃から血圧の状態をチェックしておきましょう。

急激な血圧の変動を防ぐためのポイント
- 血圧の変化を知っておく
「血圧に注意が必要な方は朝・晩、1日2回の血圧測定を習慣に。健康な方でも、1週間に1回は測ることをおすすめします。一時的に変動することもありますが、最高血圧135mmHg以上が何日も続くようなら要注意。」
- 部屋の温度と湿度を管理する
「部屋の中の温度と湿度を適切に保つこともポイントです。室温22℃、湿度60%が1つの目安になります。ちょうどいい温度と乾燥しすぎない湿度で心地よく過ごせます。」
- 塩分の多い食事を控える
「味が濃く、塩分の多い食生活は高血圧の原因に。塩分は水を引き付ける性質があります。摂り過ぎると血液中の水分量が増え、心臓に大きな負荷がかかり、血圧の上昇につながります。」
- 運動する習慣をつける
「運動をすると血管が開き、血管が柔らかくなることで、血圧が上がりにくくなります。また、糖や脂肪の燃焼を促すため、動脈硬化の予防や改善にもつながります。」
- 湯船にきちんとつかる
「心地良いと感じる38℃~40℃くらいの温度の湯船に10分程浸かるのがおすすめです。血管を開かせ、汗をかいて体の中の余分な塩分を外に出すことも大切なポイント。」

- イシハラクリニック副院長 石原新菜 先生
- 主に漢方医学や自然療法、食事療法などによる病気治療を行い、著書も多数執筆。クリニックでの診療をはじめ、親しみやすい人柄でテレビ、雑誌、ラジオなど幅広く活躍している。

- 掲載:KiiTa秋号2020
イラスト/山中玲奈 文/岩岡明愛(KiiTa編集部) 写真/Shutterstock.com