健康コラム

ブライダルチェックとは?男女ペアで受けるべき?費用や検査内容なども解説

将来の妊娠や出産を見据え、自分自身の体を知る手段として「ブライダルチェック」が注目されています。結婚や妊娠の予定がある方はもちろん、将来に備えたい方にとっても意味のある検査です。

この記事では、ブライダルチェックの概要や費用相場、男女それぞれに行われる検査内容について詳しく解説します。大切なライフプランを安心して歩むための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

【目次】
1.ブライダルチェックとは
男女ペアで受けるべき?
ブライダルチェックを受けられる病院は?
2.ブライダルチェックにかかる費用・相場
1人1~2万円程度が相場
男女ペアで受けると割引になることも
3.【女性編】ブライダルチェックの検査内容
血液検査
婦人科感染症検査
超音波検査
子宮頸がん検査
AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査
4.【男性編】ブライダルチェックの検査内容
精液検査
血液検査
尿検査
超音波検査
5.まとめ

1.ブライダルチェックとは

ブライダルチェックとは、妊娠や出産に影響を及ぼす疾患や体の状態を確認するための健康診断です。主に、不妊の原因となる疾患や性感染症の有無、妊娠に影響を与える体の不調を早期に発見することが目的です。

最近では「プレコンセプションケア(妊娠前の健康管理)」という考え方のひとつとして、注目されるようになってきました。

ブライダルチェックの大きな意味は、検査をして異常があるかどうかを知るだけでなく、その結果をもとに妊活の計画を立てられる点にあります。今すぐに結婚や妊娠の予定がなくても、自分の体の状態を知るよい機会になるでしょう。

  • 男女ペアで受けるべき?

    ブライダルチェックというと、女性が受けるイメージを持つ方が多いかもしれませんが、実は男性向けの検査もあります。

    不妊の原因は男性側にあることも少なくないため、将来子どもを望むカップルであれば、男女ペアで受けるのが理想です。

    お互いの健康状態を理解し合うことは、妊活の準備を始めるうえでも大切ですし、パートナーとの信頼関係を深めるきっかけにもなります。

  • ブライダルチェックを受けられる病院は?

    ブライダルチェックは産婦人科や泌尿器科などで受診可能です。女性は主に産婦人科、男性は主に泌尿器科でブライダルチェックを受けられるケースが多いです。

    男女ペアでブライダルチェックを受けられるのは産婦人科が多い傾向ですが、泌尿器科などでも受け付けている場合もあります。ブライダルチェックを希望される方は、事前に病院のHP等で情報をチェックしてみましょう。

2.ブライダルチェックにかかる費用・相場

ブライダルチェックを受けるにあたっては、どのくらいの費用がかかるのか気になる方も多いでしょう。検査の内容によって金額に幅があるため、事前に確認しておくことが大切です。

ブライダルチェックは保険が使えない自由診療で、費用はすべて自費となります。

  • 1人1~2万円程度が相場

    基本的なホルモン検査などを含むシンプルなコースであれば、1人あたり1万~2万円程度が目安です。

    性感染症や子宮・卵巣の超音波検査などが含まれるコースでは、2万~4万円ほどかかる場合もあります。他にも検査項目を個別に追加することが可能なケースも多いですが、その際はオプション費用がかかります。

  • 男女ペアで受けると割引になることも

    カップルで同じ日に受診する場合、ペア割引が用意されているクリニックもあります。検査内容にもよりますが、ペアでの検査は2人合わせて6~7万円前後が相場となります。

    ただし、これらの相場はあくまで目安です。診断内容によって費用は大きく異なるため、単に安さだけでクリニックを決めないことも重要です。

    自分にとって必要な検査が含まれているか、無理のない範囲の費用で受けられるかを見比べて、複数のクリニックを検討すると安心でしょう。

3.【女性編】ブライダルチェックの検査内容

女性が受けるブライダルチェックでは、妊娠や出産に影響する体の状態を幅広く確認します。

検査は血液や超音波を使ったものなどが中心で、自分では気づきにくい異常を見つけるきっかけにもなります。

  • 血液検査

    血液検査では、性感染症や風疹・麻しん・おたふくかぜなどに対する免疫があるかどうかを調べます。

    また、甲状腺ホルモンや貧血、血糖の状態、エストロゲンなどの女性ホルモンの数値を調べることで、妊娠に影響する体の異常がないかを確認できます。

  • 婦人科感染症検査

    膣の分泌物を採取して、クラミジアや淋菌、マイコプラズマなどの性感染症の有無を調べます。

    こうした性感染症は自覚症状が出にくいものも多く、不妊の原因となることもあるため、早めに確認しておくことが大切です。

  • 超音波検査

    経膣エコーという方法で、子宮や卵巣を画面に映して状態を確認します。

    子宮筋腫や内膜症、卵巣のう腫などがあるかどうかを調べ、異常が見つかった場合は治療を行います。

  • 子宮頸がん検査

    子宮頸部の細胞を綿棒で採取して、がん細胞の有無を確認します。あわせて、がんの原因になるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染もチェックします。

    子宮頸がんはHPVに感染してから5~10年かけて発症するといわれています。そのため、定期的に検査を受けて状態をチェックすることで、がん化する前に発見することができます。

    妊娠と直接的な関係はありませんが、妊娠後の子宮頸がん検査は推奨されないため、妊活中に行っておくとよいでしょう。

  • AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査

    AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査では、卵巣にどれくらい卵子が残っているかの目安がわかります。

    いわゆる「卵巣年齢」を知る手がかりになるため、将来の妊活の方針を考えるうえで参考になる検査です。

4.【男性編】ブライダルチェックの検査内容

男性のブライダルチェックでは、妊娠に関わる体の状態や精子の健康を詳しく調べます。

自覚症状がない場合でも、将来の妊活に備えて確認しておくことが大切です。

  • 精液検査

    精液検査では、精子の数や濃さ、動きの良さなどを総合的にチェックします。WHO(世界保健機関)が定めた基準をもとに、妊娠に必要なレベルに達しているかどうかを確認します。

    また、精子の質やダメージの有無なども評価できるため、妊活における一つの目安になります。

  • 血液検査

    血液検査では、精子を作る働きに関係するホルモンのバランスを調べます。具体的には、LHやFSH、テストステロン、プロラクチンなどが対象です。

    さらに、精子の質に影響を与える亜鉛やビタミンDなどの栄養素が足りているかも確認できます。

  • 尿検査

    尿を使った検査では、クラミジアや淋菌といった性感染症にかかっていないかを調べます。

    これらの病気は症状が出にくいことが多く、男性の場合は気づかないうちにパートナーにうつしてしまうリスクもあるため、早めの検査が安心につながります。

  • 超音波検査

    超音波を使った検査では、精巣やその周辺に異常がないかを調べます。

    例えば「精索静脈瘤」と呼ばれる病気は、精子の質に影響を与え不妊の原因となることで知られています。こうした問題がないかどうか、画面で確認できるのが超音波検査の特長です。

5.まとめ

ブライダルチェックは、これから家庭を築いていく上での健康状態を確認する有効な手段です。検査内容は男女で異なり、女性はホルモンや婦人科系、男性は精子や泌尿器系のチェックが中心となります。

男女別々の受診が可能なほか、男女ペアで受けられるクリニックもあります。妊娠に関する備えだけでなく、お互いの理解を深める機会として、早めの受診を検討してみてはいかがでしょうか。

教えてくれたのは・・・
錦 惠那 先生
【保有資格】
内科専門医、産業医
【プロフィール】
関西圏の医学部卒業。現在は内科医として市中病院で診療を行っている。
腎臓病、透析医療を専門分野とし、産業医としても活動している。病気の予防は治療と同等に重要であり、予防医学の理解を深めてもらうため、病気やヘルスケア情報の発信にも取り組んでいる。
私生活では1児の母でもあり、日々育児にも奮闘している。
TOP