健康コラム

生理周期が乱れる要因

生理がなかなか来ない、いつも周期が安定しない…そんな「生理不順」に悩む女性は少なくありません。

生理周期が乱れている場合、ホルモンバランスや女性機能に何らかの原因が生じていることが多いです。生理周期の安定は妊活にも影響を与えるため、周期の乱れが続く方はまずは何が原因か知るところから始めましょう。

【目次】
1.生理周期が乱れる原因①環境・生活習慣
過体重
体重不足
ストレス
2.生理周期が乱れる原因②年齢
思春期(10代)
プレ更年期(40~50代)
3.生理周期が乱れる原因③婦人科疾患
多のう胞性卵巣症候群(PCOS)
高プロラクチン血症
甲状腺疾患
早期卵巣機能不全(POI)
4.まとめ

1.生理周期が乱れる原因①環境・生活習慣

生理周期は主にエストロゲンとプロゲステロンというホルモンによって制御されています。環境が変わったり生活習慣が乱れたりするとホルモンバランスに変化が現れ、生理周期が乱れることがあります。

環境の変化や生活習慣が原因の場合、具体的には下記のいずれかもしくは複数の要因であることが多いです。

  • 過体重

    急激な体重増加・肥満は排卵に異常をきたすことがあり、生理不順にもなりやすくなります。

    特に短期間に急激な体重増加があった場合は生理周期が35日以上になる「稀発月経」、もしくは月経が全く来なくなる「無月経」の症状が起こりやすくなるといわれています。

  • 体重不足

    急激な体重減少があった場合や、体脂肪が低い状態が続いている場合も生理不順になりやすくなります。

    特に過度の運動をする人は運動量に見合った食事を摂取できずエネルギー不足の状態に陥り、脳からのホルモン分泌が減少して稀発月経・無月経になりやすい傾向にあります。無月経に悩む女性アスリートが多いといわれるのもこのためです。

  • ストレス

    脳にある視床下部はストレスの影響を受けやすく、ストレスにより視床下部の働きが乱れるとその影響で卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の分泌が少なくなり、生理不順につながります。

2.生理周期が乱れる原因②年齢

年齢によってはホルモンの分泌が安定していない等の原因で生理不順が起こることも珍しくありません。特に10代と40代~50代には生理周期が乱れる方が多いです。

  • 思春期(10代)

    10代、特に月経がはじまって3年以内の場合は生理が不安定になりがちです。多くの場合初経から3年以上経過すると月経周期が安定していくため、生理不順がみられたとしてもそこまで大きな心配はいらないでしょう。

    ただし、月経の出血が何カ月も止まらない(過多月経)、出血が2週間ぐらいの周期で頻繁に起こる(頻発月経)などの場合は受診をおすすめします。

  • プレ更年期(40~50代)

    更年期が近づくと閉経が近づき女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が減少していくため、生理不順が起こることがあります。

    40代~50代の生理不順は更年期への移行期に見られる自然な現象ですが、中には他の病気が隠れている可能性もあります。プレ更年期の方は放置せず、一度受診して適切なケアを行うことが大切です。

3.生理周期が乱れる原因③婦人科疾患

生理不順が続く場合は婦人科疾患が隠れていることもあり、複数の病状が併発することも少なくありません。

疾患が疑われる場合は放置せず受診・治療することが重要です。

  • 多のう胞性卵巣症候群(PCOS)

    多のう胞性卵巣症候群(PCOS)はホルモンバランスが崩れ排卵しにくくなる病気で、不妊症の原因の一つともいわれます。

    特に肥満を伴うPCOSの場合、糖尿病を合併している可能性もあるため検査を行う必要があります。

  • 高プロラクチン血症

    母乳の分泌を促す働きを持つプロラクチンは通常出産後に多く、排卵しないようにする役割を持っています。

    妊娠も出産もしていない時に何らかの原因でプロラクチンが過剰に分泌されると生理不順・不妊などの症状を引き起こすことがあります。

  • 甲状腺疾患

    喉元にある甲状腺はホルモンを分泌する器官で、甲状腺の機能が低下する病気を「甲状腺機能低下症」、過剰に働く病気を「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」と呼びます。

    甲状腺ホルモンは子宮機能にも影響を与えるため、甲状腺疾患をわずらうと生理不順が起こることもあります。

    • 甲状腺機能低下症
      甲状腺機能低下症は代謝が低下して卵巣の機能も鈍くなるため、無月経や生理不順、月経量が多くなる「過多月経」を引き起こすことがあります。
    • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
      甲状腺機能亢進症は代謝が異常に活発化するため、無月経や生理不順、月経量が多くなる「過少月経」の症状がみられることがあります。
      また、症状により体重が急激に減少して生理不順が起こるケースも考えられます。
  • 早期卵巣機能不全(POI)

    早期卵巣機能不全(POI)は40歳より前に卵巣機能が低下して生理が来なくなる疾患を指します。

    POIは更年期に似た症状が出るため、生理不順や不妊などを引き起こすこともあります。

4.まとめ

生理周期が乱れる原因は大きく分けて「環境・生活習慣」「年齢」「婦人科疾患」の3つです。原因は一つとは限らないため、気になる場合は婦人科に相談してみましょう。妊活をされている方は特に生活習慣や疾患をしっかりと改善していくことが重要なので、早めに受診することをおすすめします。

「最近少し生理周期が乱れているような気がする」という場合は、まず基礎体温を測定してみて自分の周期を把握することから始めてみてもいいかもしれません。

教えてくれたのは・・・
錦 惠那 先生
【保有資格】
内科専門医、産業医
【プロフィール】
関西圏の医学部卒業。現在は内科医として市中病院で診療を行っている。
腎臓病、透析医療を専門分野とし、産業医としても活動している。病気の予防は治療と同等に重要であり、予防医学の理解を深めてもらうため、病気やヘルスケア情報の発信にも取り組んでいる。
私生活では1児の母でもあり、日々育児にも奮闘している。
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