体温と血圧の関係は?相互に与える影響と体温測定の重要性
寒い時期に血圧を測ると、いつもより数値が高かったということはありませんか?実は、体には体温を一定に保つ働きがあり、血圧と体温が連動する場合があります。
そこで今回は、体温と血圧がお互いに与える影響と体温・血圧測定の重要性を解説します。体温や血圧を日頃から測定し、体調のバロメーターとしてぜひご活用ください。

- 【目次】
- 2.血圧が体温に与える影響
- 低血圧による体温への影響
- 高血圧による体温への影響
- 3.体温・血圧の測り方
- 体温・血圧測定の重要性
- 体温の測り方
- 血圧の測り方
1.体温・外気温が血圧に与える影響
人の体温は、脳の視床下部にある体温調節中枢の働きによりほぼ一定に保たれています。体温調節中枢が皮膚を通じて外気温の変化を感じると、血管の収縮や拡張、筋肉の震え、発汗を起こして体温を調節するのです。
血液には全身に熱を伝えて体を温める役割があり、寒い時は血管を収縮して血流を減らすことで体の熱を逃さないようにし、暑い時は血管を拡張して血流を増やし、皮膚から熱を外に放出しやすくしています。
しかし、血管を収縮すると血液が流れにくくなり、血管に高い圧力がかかります。反対に血管が拡張すると血流が良くなり圧力が低くなります。そのため、寒い時は血圧が高くなり、暑い時は血圧が低くなりやすいといわれているのです。
2.血圧が体温に与える影響
低血圧や高血圧になると、体にさまざまな症状がみられるようになります。そのひとつに体温の変動が挙げられます。
- 低血圧による体温への影響
低血圧では全身に血液を届ける力が弱く、低体温の症状がみられる場合があります。低体温は平熱が低い状態のことで、一般的に平熱35.5℃未満を低体温だと考えます。低体温は病気ではありませんが、免疫力の低下を招くといわれており、感染症のリスクも高まるため注意が必要です。
また、平熱が低いと冷えた血液が体内を巡ることになり、冷えが悪化しやすいとされています。新陳代謝が低下して痩せにくい体質になったり、冷え性や生理不順の症状がみられたりする場合もあるようです。
低体温の改善には汗をかく程度の運動がおすすめです。筋肉が鍛えられると血液の循環が良くなるため、低血圧の改善にも役立つでしょう。
- 高血圧による体温への影響
高血圧の症状に体温の変動は見られませんが、降圧剤の影響で冷えを感じる場合があります。
降圧剤にはさまざまなタイプがありますが、心臓に作用して送り出す血液量を減らす薬の場合、血流の勢いが弱くなるため体の末端まで血液が届きにくくなります。そのため、手足の冷えを感じる、体温低下につながるケースがあるようです。
冷えが気になる場合は、運動や入浴で体温を上げる習慣をつけましょう。体を温める発酵食品や根菜類の摂取は、血圧を下げる効果も期待できます。
3.体温・血圧の測り方
体温は測る部位によって温度が異なり、外気温の影響を受けることがあります。血圧も同様に、運動後や飲食後に血圧が上がりやすくなるため、正しく測ることが大切です。ここからは、体温と血圧の基本的な測り方についてご紹介します。
- 体温・血圧測定の重要性
日頃から体温や血圧を測定して平均値を把握しておくと、体調の変化や病気に気づきやすくなります。「いつもと違う」と判断できれば、早めに体を休めたり病院で診察を受けたりできるでしょう。
ただし、食事や入浴、運動などの行動や環境によって、測定結果が変わる場合があるので注意が必要です。毎日、時間帯や測る部位を決めて体温や血圧を測定し、平均値を把握することをおすすめします。
特に体温は急激に変化しにくく、健康であれば平熱に大きな差はみられないため、体調のバロメーターになりやすいでしょう。
- 体温の測り方
正しい体温の測り方をご紹介します。ここでは、最も一般的な体温測定の部位、わきでの測定方法を解説します。
<測定方法>
①腕をあげて体温計を斜め下方向(約30℃)から押し上げる
②わきの下のくぼみの中心部に測温部(先端)をあてる
③体温計の表示部が体側にくるようにする
④わきをしっかり閉じる
⑤手のひらを上に向ける
⑥もう一方の手でうでを押さえてわきを密着させる
体温を測るときは、体を動かさずにじっとしている状態で行うことが大切です。他にも、入浴、運動、飲食後に測ると正しい結果が得られない可能性があるため、注意しましょう。
- 血圧の測り方
病院より自宅の方がリラックスした状態で血圧を測定できるため、安定した値が出やすくなります。病院で測る習慣がある方も、日々の血圧の変化を記録しておくと診察時に役立つでしょう。
血圧計には、上腕部で測るタイプと手首で測るタイプがあります。それぞれの計測方法は以下の通りです。
上腕式の場合
二の腕にカフ(腕帯)を巻く上腕式血圧計での正しい測定方法をご紹介します。
<測定方法>
①血圧計のカフを素肌か薄い肌着の上から二の腕に巻く
②カフを心臓と同じ高さに合わせる
③手のひらを上に向けて力を抜き計測する
背筋を伸ばした姿勢で、深呼吸をしてリラックスしてから測ります。左腕、右腕どちらでも計測できますが、左右で血圧に10mmHg程度差が出る場合があるため、毎回同じ側の腕で測りましょう。
手首式の場合
手首にカフを巻く手首式血圧計での正しい測定方法をご紹介します。
<測定方法>
①カフを手首にぴったり巻きつける
②手の親指側を上に向けて力を抜く
③血圧計を心臓と同じ高さにして計測する
血圧計が心臓の位置より低いと血圧が高くなり、心臓の位置より高いと血圧が低くなります。高さが合わない場合は、タオルなどを腕の下に置いて調整しましょう。
4.まとめ
人は外気温の変化を感じると、血管を細くしたり太くしたりして血流を調整し、体温を一定に保っています。その結果、寒い時は血管が収縮して血圧が高くなり、暑い時は血管が拡張して血圧が低くなる場合があります。
血圧と連動して体温が低下するケースもみられます。血圧が低い方や高血圧で降圧剤を飲んでいる方は、低体温や冷えの症状を感じやすいといわれています。運動や食生活の改善で血液の巡りを良くしましょう。
体調のバロメーターとして平熱や血圧の平均値を知っておくことが役立ちます。日頃から体温や血圧を計測して、体調の変化に気づけるようにしておきましょう。
【参考サイト】
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https://www.citizen-systems.co.jp/cms/c-s/health/data/pdf/thermometer/CTEB720VA_torisetsu.pdf
https://www.citizen-systems.co.jp/cms/c-s/health/data/pdf/blood-pressure/CHWH903-803.pdf

- 錦 惠那 先生
- 【保有資格】
- 内科専門医、産業医
- 【プロフィール】
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関西圏の医学部卒業。現在は内科医として市中病院で診療を行っている。
腎臓病、透析医療を専門分野とし、産業医としても活動している。病気の予防は治療と同等に重要であり、予防医学の理解を深めてもらうため、病気やヘルスケア情報の発信にも取り組んでいる。
私生活では1児の母でもあり、日々育児にも奮闘している。