健康コラム

家族が聴覚障害になったときの困りごと&助けになる便利グッズ

音が聞こえにくくなった、もしくは聞こえない状態になると、ご本人はもちろんのこと周りの家族や友人も戸惑ってしまうものです。上手にサポートしたいけれど、どうすればいいのかわからないと悩む方もいるのではないでしょうか。

聴覚障害の方をサポートするには、まず、どんなことに不便を感じているのかを知ることが大切です。

そこでこの記事では、聴覚障害の方はどのような困りごとを感じているのか解説していきます。聴覚障害者向けの便利グッズや活用できるアイテムなどもご紹介するので、どのようにサポートできるのかみてみましょう。

家族が聴覚障害になったときの困りごと&助けになる便利グッズ
【目次】
1.聴覚障害になった人の日常の困りごと
自分への呼びかけや周囲の会話が分からない
会話がスムーズにできない
インターホンや電話、TVの音が聞こえない
周囲の音が聞こえないので外出が怖い
災害時の緊急放送などが聞こえない
エレベーターや電車内などで緊急連絡ボタンが使えない
2.聴覚障害の人の困りごとを助ける便利グッズ
補聴器
スマートウォッチ
音声文字認識ツール(文字変換アプリ)
屋内信号装置
振動式目覚まし時計
筆談ボード・ノート
透明マスク
3.健康管理は特に聴覚障害に配慮した機器がおすすめ
振動で検温終了が分かる体温計
日時と数値を記録してくれる体温計・血圧計
アプリにデータを転送できる血圧計
4.聴覚障害がある人とのコミュニケーションのコツ
5.まとめ

1.聴覚障害になった人の日常の困りごと

聴覚障害になると日常のさまざまな場面で困りごとを抱えることがあります。

  • 自分への呼びかけや周囲の会話が分からない

    呼びかけられたり話しかけられたりしても反応できず、コミュニケーションがとりにくくなります。待合で呼ばれても気づけず、周りの会話もあまり聞き取れないため、周囲とのやり取りに難しさを感じることが多いでしょう。

  • 会話がスムーズにできない

    一対一のコミュニケーションはうまくできても、複数人での会話になると次に話す人がわからなくなり、会話の流れが理解できなくなってしまいます。

    また、筆談、手話、口話それぞれでテンポよく会話するのに困難を覚える方も少なくありません。会話がスムーズにいかないと、職場や病院など公共の場で自分のことをうまく説明できないといった問題も生じます。

  • インターホンや電話、TVの音が聞こえない

    生活音に気づけない場合も多く、例えば、在宅中でもインターホンや電話の音が聞こえないため来客に気づけません。テレビの音も聞こえず、情報が不足しがちです。自分が発している音のボリュームも自覚がなく、ご近所トラブルになるケースもあります。

  • 周囲の音が聞こえないので外出が怖い

    聴覚障害があると危険を察知しにくくなる怖さがあります。車・自転車が近づく音や信号音なども聞こえにくいので、公共交通機関の利用も不安になるでしょう。外出へのハードルが高くなってしまうかもしれません。

  • 災害時の緊急放送などが聞こえない

    緊急時の放送や警報が聞こえないという問題も生じます。災害時に地域放送や館内・車内放送が聞こないと、何が起こっているのか把握できません。現状や避難指示が聞こえないのは、聴覚障害の方にとって重大な困りごとといえます。

  • エレベーターや電車内などで緊急連絡ボタンが使えない

    聞こえにくいとエレベーターや電車内の緊急連絡ボタンの利用が難しいでしょう。ボタンを押し、状況を伝えたり相手側からの指示を受けたりするなど会話ができないので、緊急時に利用できるツールが少なくなってしまいます。

2.聴覚障害の人の困りごとを助ける便利グッズ

聴覚障害者が日常生活で感じる困りごとを軽減させるには、さまざまなアイテムの力を借りる方法があります。ここでは7つの便利グッズをご紹介します。

  • 補聴器

    補聴器とは音を拾って聞き取りやすくしてくれる機器です。集音するマイクや音質調整のアンプ、スピーカーが内蔵してあり、聞きやすいクリアな音質と音量にしてくれます。耳の上に引っ掛ける耳かけ型、耳の穴に装着できる耳あな型、本体につながったイヤホンを装着するポケット型の3種類があります。

    補聴器は耳鼻咽喉科やメガネストアで購入可能です。自身に合ったタイプを選べるよう、専門知識を持つスタッフのカウンセリングのもと購入するといいでしょう。

  • スマートウォッチ

    スマートウォッチは聴覚障害の方にとっても便利なアイテムです。スマートフォンと連動させてメール受信や電話の着信、アラームを光や振動で伝えてくれるだけでなく、簡単なメッセージや緊急連絡メールの送信も可能です。

    インターホンと繋げられるタイプもあり、来客も知ることができます。

  • 音声文字認識ツール(文字変換アプリ)

    音声を文字に変換してくれる音声文字認識ツール(文字変換アプリ)をスマートフォンやパソコンにダウンロードしておくといいでしょう。オンラインでのミーティングや診察でも活用でき、スムーズなコミュニケーションが難しいという困りごとの改善が期待できます。

  • 屋内信号装置

    屋内信号装置は、電話やインターホン、火災警報、赤ちゃんの泣き声など、生活に不可欠な情報を振動や光、大きな音に変換して知らせてくれる機械です。

    福祉機器のひとつとして国からの支援があり、障害者手帳2級以上なら給付制度も利用できます。(2023年6月現在)
    ※「日常生活用具給付等事業の概要」(厚生労働省)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/seikatsu.html

  • 振動式目覚まし時計

    振動で時間を知らせてくれる時計もあります。シェイカーが付いていて、枕の下などに入れて寝ればアラーム音の代わりに振動で起こしてくれます。振動の強弱が設定できるものや振動と音を組み合わせられるものなど種類も豊富です。

  • 筆談ボード・ノート

    軽量で書き消しが簡単な筆談ボードがあると、ちょっとした会話での「聞こえない」をカバーできます。電子メモパッドなら、文字を消すのが簡単でスムーズな会話につながります。軽量タイプなら持ち運びもしやすく、気軽に筆談でのコミュニケーションを取れるでしょう。ノートは記録を残したい会話の場合に便利です。

  • 透明マスク

    聴覚障害のある方は、口元の動きを読み取って聞こえない分をカバーすることが少なくありません。マスクシーンでも互いに透明マスクを使用するといいでしょう。

    透明マスクは口元の部分はプラスチックカバーになっており、顔に接する部分が不織布などの布製になっています。呼吸がしやすく曇りにくいものも増えていて、透明マスクにするだけでコミュニケーションのしやすさが格段に上がります。

3.健康管理は特に聴覚障害に配慮した機器がおすすめ

一般社団法人PLAYERSのアンケート調査(※)によると、聴覚障害の方が最も困難に感じる場面は、公共の場(病院など)での会話だそうです。
※参考:「【 アンケート 】「聴覚障害者のコミュニケーション」に関するアンケート結果」(&HAND / アンドハンド)
https://www.andhand-project.com/posts/6596537/

健康管理に使うアイテムも配慮することで、日々の体調管理や診察時の不便を改善できるかもしれません。

  • 振動で検温終了が分かる体温計

    振動体温計は、検温終了をバイブレーションで知らせてくれる体温計です。検温が終わったタイミングを自身で把握できるので、「もう測定は終わったかな?」というちょっとした負担を減らすことができ、日々の体温測定がスムーズになります。

  • 日時と数値を記録してくれる体温計・血圧計

    日々の測定が必要な場合は、日時と数値を本体に記録できる体温計・血圧計を活用するのがおすすめです。診察時に口頭で数値を伝えられなくても、記録を見せることで毎日の状態を確認してもらえます。

  • アプリにデータを転送できる血圧計

    血圧計の中にはアプリで計測データを管理できるものがあります。スマートフォンで健康を管理でき、聴覚障害の方にとっても便利な機器です。家族や医師にもアプリを通じて状態を伝えられるので、健康管理しやすくなります。

4.聴覚障害がある人とのコミュニケーションのコツ

聞こえない・聞こえづらい方とのコミュニケーションに慣れていないと、戸惑う場合も少なくありません。

そんなとき覚えておきたいのは、多くの聴覚障害の方が、「相手の顔を見てコミュニケーションを取りたい」と感じているという点です。コミュニケーションを補助する便利グッズはたくさんありますが、目を見て会話することが何より重要です。

聴覚障害の方と会話をする時は、以下のポイントを押さえて話すといいでしょう。

  • 話し始めの合図をする
  • 目を見る
  • ゆっくり区切って話す
  • 大きく口を動かす
  • 少し大きめの声で話す
  • 会話が上手くいかないときは一度休憩をはさむ
  • 小さな間違いを責めない

相手の言いたいことをうまく読み取れない、もしくは伝わらないと焦りや苛立ちを感じてしまうかもしれません。しかし焦りは禁物です。会話のコツを意識しながら、ゆっくりとコミュニケーションに臨めば、意思疎通を図れるようになるでしょう。

5.まとめ

聴覚障害の方は、インターホンや電話・メールに気づけない、医療機関や公共の場で呼びかけに応じられないなど日常生活でさまざまな困りごとを抱えます。警告音や緊急時の放送が聞こえないため、外出自体が怖くなってしまうことも少なくありません。

その一方で、スマートウォッチのような光や振動で通知を知らせる機器や振動体温計など、聴覚障害をカバーするための便利グッズも多くあります。そういったアイテムを活用しつつ、顔を合わせたコミュニケーションを意識すれば、聴覚障害の方の負担を軽減できるでしょう。

【参考URL】

https://www.atgp.jp/knowhow/oyakudachi/c4857/

https://www.andhand-project.com/posts/6596537/

https://hanashimina.com/deaf-benri-goods/

https://www8.cao.go.jp/shougai/mark/mark.html

https://www.jiritsu.com/beginner/home-system.html

https://www.aigan.co.jp/aigan_style/hearing_aid/134

https://www.gizmodo.jp/2020/11/soundwatch.html

https://www.citizen-systems.co.jp/health/kenkoyoyaku/thm01/index.html

https://www.citizen-systems.co.jp/cms/c-s/health/data/pdf/thermometer/CT915_UMJ_web.pdf

https://www.citizen-systems.co.jp/health/products/health02.html

https://www.citizen-systems.co.jp/health/products/chuh_904c.html

https://www.citizen-systems.co.jp/health/column/article/article_05.html

関連商品

TOP