健康コラム

血圧の正しい測り方と家庭で測るときの注意点

血圧はちょっとしたことで上下してしまうので、自宅で正確に測るには正しい知識が必要です。家庭血圧の把握は健康維持にとても大切なもの。この機会に正しい測り方を身に着けておきましょう。

今回は、血圧が測り方によって変わってしまう理由と、血圧の正しい測り方、家庭血圧を測定する際の注意点などを解説します。家庭血圧の数値に疑問や心配がある方は、ぜひ参考にしてくださいね。

血圧の正しい測り方と家庭で測るときの注意点
【目次】
1.血圧は測り方で数値が大きく上下してしまう
2.血圧の正しい測り方
測るタイミングと回数
測る姿勢
測る部位と腕帯の巻き方
3.家庭血圧を測定するときに注意したいこと
食事
アルコール
タバコ
入浴
トイレ
運動
興奮やストレス
体調不良
部屋の温度
4.血圧は毎日測定し、記録することが大切
血圧を毎日測定する重要性
血圧の記録のつけ方
5.まとめ

1.血圧は測り方で数値が大きく上下してしまう

血圧は測り方次第で数値が大きく変わってしまいます。血圧は一日の中で一定のパターンで変化する上、少しの環境変化や心身の動きにも敏感に反応して上下するからです。

例えば、血圧は朝起きる前から徐々に上がり始め、活動をしている日中に最も高くなり、夕方から夜にかけて徐々に下がり、活動を休止する睡眠時に最低値になります。また、運動や食事の後は血圧が上がり、少量の飲酒や暑い部屋、排尿後などでは血圧が下がります。

このように血圧は日常のちょっとした動きで変わってしまうので、それらの影響を最小限に抑えることが家庭血圧を正確に測るポイントです。

2.血圧の正しい測り方

血圧測定は変化の影響を最小限に抑えるために、毎回同じ条件で行うことが鉄則です。また腕の高さや測る部位でも数値が変化するので正しい測り方を知っておきましょう。

  • 測るタイミングと回数

    血圧は朝と夜の1日2回、毎日できるだけ同じ時間に測定します。座って5~6回深呼吸をし、リラックスしてから測定しましょう。

    朝:起床後1時間以内、排尿後、服薬や朝食の前
    夜:就寝前

  • 測る姿勢

    血圧は、椅子に足を組まずに座り、背筋を伸ばした姿勢で測定します。寝て測定する場合は、あお向けになって手のひらを上に向け、腕を伸ばしてリラックスしましょう。

  • 測る部位と腕帯の巻き方

    血圧は腕の左右の違いでも差が出てしまうので、毎回同じ腕で計測します。「利き手の逆側の腕」で測るのが原則です。

    カフ(腕帯)は、肘の関節から1~2㎝上に、カフのチューブが手のひら側になるようにぴったりと巻き付けます。

3.家庭血圧を測定するときに注意したいこと

血圧はささいなことにも影響を受けて上下します。家庭で測るときは以下の点に注意しましょう。

  • 食事

    食事をした後は血圧が高めに出るのが一般的です。また食事内容にも影響を受けるので、血圧はできるだけ空腹時に測るのがおすすめです。

  • 血圧は服薬前に測るのが基本です。服薬後に測らざるを得ない場合には、飲んだ薬の名前や量を、数値と一緒に記録しておきましょう。

  • アルコール

    アルコールは血管を拡張させるため、お酒を飲んだ直後は血圧が下がりやすくなります。血圧測定は飲酒前にしましょう。

    ただし、長期的な飲酒の習慣や過度な飲酒は慢性的に血圧を上げる要因になります。高血圧の改善や予防をする場合は減酒や禁酒も必要です。

  • タバコ

    タバコは血圧を上昇させるため、測定前に吸わないようにしましょう。ニコチンが末梢血管を収縮し、一時的に血圧を上昇させるといわれています。喫煙した場合は十分に時間をおいてから測定します。

  • 入浴

    血圧を測るのは、入浴後30分以上経ってからにしましょう。入浴前に測定する場合は、帰宅後、安静時間を十分に取りリラックスしているときが適しています。

  • トイレ

    尿意や便意があるときは、トイレをすませてから血圧を測定してください。朝は毎回排尿後に測るなど血圧測定時の条件をそろえましょう。

  • 運動

    運動は軽く歩いた程度でも血圧に影響します。座って1~2分安静にし、落ち着いた状態で測りましょう。

  • 興奮やストレス

    血圧は緊張や不安、ストレス、感情の起伏といった精神的な影響も受けて変動します。緊張すると血圧は上がりやすいので、リラックスした状態で測ることも大切です。

  • 体調不良

    発熱や脱水などの体調不良も血圧の数値に影響します。頭痛や倦怠感など、体調が良くないと感じる場合には、血圧値と合わせて健康状態も記録しておくと診察時に役立ちます。

  • 部屋の温度

    血圧は測定環境の温度によっても変化します。寒いときは血圧が高めに出る傾向があるため、20℃前後の過ごしやすい室温で測定しましょう。

4.血圧は毎日測定し、記録することが大切

血圧は、毎日の測定と記録が重要です。毎日の測定が重要な理由と正しい記録の付け方について解説します。

  • 血圧を毎日測定する重要性

    血圧はできるだけ、毎日測定して記録するのが理想的です。特に家庭ではリラックスした状態で測定できるため、病院より安定した数値が出やすい環境です。毎日測定することで血圧値の変化が分かり、疾病の早期発見につながります。

    体調不良やそのときの状況なども合わせて手帳やアプリなどに記録しておけば、より的確な治療が受けられます。通院の際は記録を持参して医師に見てもらうようにしましょう。

  • 血圧の記録のつけ方

    血圧を測定したら、次のポイントをおさえて記録をつけましょう。

    • 測定した血圧値(最高値と最低値)はすべて血圧手帳などに記録する
    • ストレスや体調不良など、血圧に影響しそうな状況があれば、合わせて記録する
    • 体重、体温、心拍数など健康管理に役立つ情報も記録すると便利

    記録付けを大変に感じる方は、計測データをスマホアプリへ転送してくれる機能がついた家庭用血圧計など、手間が少なくなる機種を使用すると便利です。

5.まとめ

血圧は一日の時間帯やささいな心身の動きで数値が変わってしまうため、正しい測り方を知らなければ正確な計測はできません。

測るタイミングは朝と夜2回、同じ時間、同じ条件、正しい姿勢を保つことも重要です。また、食事や排せつ、入浴、運動、ストレス、部屋の温度でも数値が変わってしまうため、血圧を上下させる項目を把握して、計測時にできるだけ影響が出ないように調整しましょう。

家庭血圧を治療に役立てるには毎日測定し、記録することも大切です。血圧計の機能やスマホアプリなども活用し、正しい記録を継続して残しましょう。

【参考サイト】

シチズン・システムズ株式会社「血圧計」
https://www.citizen-systems.co.jp/health/support/faq/blood/

シチズン・システムズ株式会社「取扱説明書 シチズン上腕式血圧計 CHUHシリーズ」
https://www.citizen-systems.co.jp/cms/c-s/health/data/pdf/blood-pressure/WM_CHUH904C_719_533_IM_2201.pdf

日本高血圧学会「一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 高血圧の話」
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf

株式会社エー・アンド・デイ「血圧のおはなし「血圧は一定じゃないの?」」
https://www.aandd.co.jp/products/hhc/blood_pressure06.html

Web医事新報|日本医事新報社「診察直前の喫煙が血圧に与える影響」
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=7637

高血圧イーメディカル「医師がすすめる血圧測定|家庭での血圧測定が重要視されるのはなぜ?」
https://e-medicaljapan.co.jp/blog/blood-pressure-measurement

高血圧イーメディカル「血圧の管理方法|正しい血圧データの管理方法について医師が解説」
https://e-medicaljapan.co.jp/blog/blood-pressure-management#2

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